『有頂天音吉(うちょうてんのんきち)』 まとめその4
彩千代の働くカフェーにて。
音吉、喫茶席で一人、彩千代の手帳を声に出して読む。
側でその姿を見守る和装の女給姿の彩千代。(して、今日は胸元が緩くない。)
「 『蝉』和田彩千代
音吉は呑気に 蝉を採って 佐吉に随分と自慢気に 見せびらかす ラヴ憂」
音吉「…素晴らしいにょん。下ネタに逃げない所が何処ぞの三流作家と違って特に」
彩千代「もう一つ作ったんさー」
音吉、一つページを捲る
「『なんともいえぬ』和田彩千代
外をみて思ったこと。
なんともいえぬ。
いえぬなあ。
夏の森林のなかから聞こえる蝉の音が、やけにさみしい。。
夏って感じ
とてもさみしい。蝉君の泣いてるのを聞くと悲しいな。
蝉の気持ちを知らされた私でした。
バイバイ。
八月七日 午前七時五十六分(←去年のこの日付の「あや著」の改変だにょん。)」
音吉「『蝉』よりもこっちの方が断然イイにょん!」
彩千代「そう言って貰えると嬉しいんさー」
音吉「彩千代さん、ところで例の『タチアガール』はどうなったのかにょん?」
彩千代「それはぁー、まだ出来てない。もうちょっと時間が欲しいっ。バイバイ」
音吉「………」
と音吉、仕事に戻る彩千代の後ろ姿を黙って見送る。
音吉は『タチアガール』がどんな作品になるのかやっぱり楽しみだと思った。