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カニョン探偵事務所/海鼠銃 その3

にょんは早速ナカサキ・チャン氏の尾行を始めたにょん
彼の容貌は「快獣ブースカ」にそっくりだったから 人混みでも全く見逃す事もなく
いわゆる「サキを急ぐ事の無い」簡単な仕事だったにょん
しかし、クマイ・チャンは彼のどこに惹かれたのかにょん
まさか あの顔でダンスがとても上手だとか?…………まさかにょん
ナカサキ・チャン氏は予想通り 仕事場から真っ直ぐ帰宅しなかったにょん
彼の向かったのは 会員制高級クラブ「エッグ・ダンサーズ」だったにょん
勿論 そこは普段の彼には全く場違いな店だにょん けれども彼は誰に引き留められる事もなく
店の中へと入っていったにょん …にょんの想像は当たってしまったのかもしれないにょん
にょんも急いで店の中へ続いたにょん えっ にょんのような"アイドル兼しがない私立探偵"が
どうして そんな高級店に難なく入れたかって? それは なにを隠そう にょんは昔 この店で
踊り子を演っていたからだにょん そして今のここの支配人は にょんの幼馴染だからだにょん
入店すると ナカサキ・チャン氏の姿はもう既に見えなかったにょん
でも店の真ん中に懐かしい笑顔を見つけたにょん 彼女の奏でるピアノの旋律は相変わらず
にょんを戦慄させるにょん
彼女のステージネームは「マノ・ピアノ」 にょんの大恩人だにょん
にょんに"ホンモノのシェイクハンド"を教えてくれた女性…
国籍不明の彼女の周りでは 現在「春の嵐」が吹き荒れていると
にょんも風の噂で耳にしているにょん
だけど にょんには全く関係のない事だにょん
にょんの顔を見つけると、彼女は眩しい営業スマイルを更に輝かせて
にょんを暖かく迎えてくれたにょん

「久し振りねえ!カニョン!」
「マノは相変わらず美人だにょん」
「カニョンも相変わらずお上手だわ で 今日はどうしたの?」
「ナカサキ・チャン氏を知ってるかにょん?」
「最近毎日のようにここに来るわ でも店では飲まずに 直ぐに厨房へ入って行くの」
「その後はどうしてるにょん?」
「ごめんね その後の事は全く分からない この店もすっかり変わってしまったわ…
今では秘密が多くなってしまって… ユウカも何だか表情がキツくなった…」
「おっと そこまでだにょん マノの不用意な呟きは"人畜無害の輩"まで"Active guy(元気者)"に
変えてしまうにょん」
「ウフフフ…そうね "火消し"はもう沢山 アタシ歌うわ ねえカニョン 踊ってくれる?」
「勿論だにょん」
マノ・ピアノは彼女の代表曲『マノ・ピアノ』を弾き語り始めるにょん
調子付いたにょんは懐から海鼠銃を取り出し、下に向けた銃口をグニャリと折り曲げて
サックス奏者のスタイルを気取って ピアノの周りで夢中でステップを踏むにょん
恍惚の時間がしばらく続いて…
店中に響く怒号や悲鳴で にょんはハッと我に返るにょん
見ると 周りは海鼠銃の白い弾丸の犠牲者で溢れていたにょん
踊りに夢中だったにょんは海鼠銃の白い弾丸を当たり構わず乱射してしまったみたいだにょん
真野ちゃんの臀部にも白い液体がベッチョリとへばり付いていて
これではしばらくピアノチェアから立てそうもない状態になってしまったにょん…
…まあ 仕方ないにょん
それに にょんはマノ・ピアノのステップを踏む姿よりもペダルを踏む姿の方が好きだにょん
マノには切ないスローなバラードがお似合いだにょん
無理に忙しないダンスナンバーを踊るのは しばらくやめるにょん

数日後、「Please…Please」という"にょんの祈り"に対して マノ・ピアノは会員制高級クラブ「エッグ・ダンサーズ」の店の鍵を気持ちよく渡してくれたにょん
にょんは誰も居そうに無い時間帯をわざわざ選んで 店に潜り込んだにょん
厨房を通り抜けると地下へ通じる階段があるにょん その階段を降りると
そこは広々としたワイン・セラーがあるはずだにょん
…そのはずだったにょん だけど ワイン・セラーはどういうわけかナマコ・セラーにすり替えられていたにょん…ユウカの奴 にょんと同じ趣味になったのかにょん?
ユウカとは にょんの幼馴染で この店の支配人 コドモ・ノ・ユウカの事だにょん
奴もここの踊り子からの成り上がりだにょん その印象は清廉潔白そのもの 今ではチバ・シティの
次期市長候補の最右翼と噂されている新進気鋭の青年実業家だにょん
マニフェストでは「子ども手当のばら撒き」を最大の目玉とし 「幾つになっても子供の振りをする事」が奴の得意技だにょん
そのユウカの"右腕"と言われているのが サキ・ナノレス 浅黒い肌の色が出自の卑しさを物語っているにょん こいつもここの踊り子上がり かつては にょんに金魚の糞のようにくっ付いて来た癖に
今ではユウカの右隣から決して動こうとしない どうしようもない単細胞だにょん
まあ 文字通り"ユウカの右腕"だにょん
しかし もっと驚いたのが この倉庫の天井部分に大砲サイズの「海鼠銃」がブラブラと吊るされていた事だにょん
にょんはこの奇妙なナマコ・セラーの様子を手持ちのカメラに収めていったにょん 店の地下にこんなものが隠されている事が知られれば ユウカの社会的信用は一気に失墜するはずだにょん もしナカサキ・チャン氏に何かあった場合 これが最高の切札になるはずだにょん
撮影に夢中になっていたせいで 背後の七人の娘達がにょんを睨み付けている事に全く気が付かなかったにょん ツカツカと近付く足音に振り返った時 例の甘ったるくて舌足らずなユウカの声が
倉庫中に響いたにょん
声の主は倉庫の作業用通路に立って 自分の"右腕"を傍らに にょんを見降ろしていたにょん
その作業用通路は吊るされた海鼠銃と丁度同じぐらいの高さにあったにょん