カニョン探偵事務所/TRANSQUID その4

「ところでご用件は何ですかにょん?」
「ええー! 前戯なしでいきなり本番ですかっ!流石 名探偵カニョン君だ 感心感心…」
やっぱり嫌な予感がするにょん
「ところでね カニョン君 君は『ハロプロTIMES』を購読してますか?」
「あんな三流紙に購読者なんて本当にいるのかにょん?」
「ハイハーイ!ここにおりますが ナニか?んー 実ーに残念ですっ!カニョン君なら
分かってくれると思ったんだけどなー!紳士たるもの世間のありとあらゆるトピックスに
アンテナを張り巡らせて置かねばならんのさ それも同意しかねる?」
「まあ 言ってる意味は分かるにょん」
「そう来なくっちゃ じゃあ早速本題に入ろう 実はこの記事なんだけど…」
見せられたのは 今朝チャチャ・ルルーが読んでいた記事だったにょん
「ああ この記事なら読んだにょん」
「なんだあ 君 嘘吐いてたの?恥ずかしいのは分かるけど隠し事はいけませんよ」
「たまたまだにょん」
「"タマタマ"ってまたあ!カニョン君は仕掛けてくるねっ!」
本当に疲れるにょん…


で その記事の大まかな内容を書くと
『ある警備会社の社宅で 二人の主婦が夜勤帰りの夫達に全身真っ黒な状態で
失神している姿を発見された 被害者の名前はリサコ・ジエンドとミズキ・ダンチヅマン
この時リサコは口にでかいイカの下足みたいなものを咥えていた ミズキは全裸だった
調べてみると彼女達を黒くしていた液体の正体は毒性の強い烏賊墨だった
夫達がパートナーを問いただしたところ リサコは「美味かった…」と答え ミズキは
「上手かった…」と答えた しかし それ以上の事を二人共決して
打ち明けようとはしなかった…』
まあ ザッとこんな感じだにょん
「カニョン君 この記事の内容 君の嗅覚に何か訴えかけて来ないかい?」
「これは よくある"間男"だにょん」
「ザンネン…ナカサキ ガックリ…プラース 失望…」
ナカサキ博士は本当に残念そうにうな垂れているにょん
居心地の悪い空気が漂い 堪らずにょんは返したにょん
「ミスター・チャン!にょんを試すのはやめるにょん!」

ナカサキ博士はすぐに"種明かし"をしてくれたにょん
「これを初めて観た時 ナカサキ 興奮し過ぎて いつの間にか寝てて
朝起きたら びっくりする程 目が腫れていたっ ははっ」
と 彼がにょんに観せてくれたのは 例の記事で書かれている出来事が
一部始終記録されている盗撮映像だったにょん
そして にょんには そこに写っていたものが現実の出来事だとは到底思えなかったにょん
「信じられないだろうが これは映画でもドラマでも何でもない
この"怪物"は現実に存在するんだ」
「何故そう言い切れるにょん?」
「だって このカメラを仕込んだのはナカサキなんだもん」
「………」
「あっ 引いてますね!さっきも言ったろう 紳士たるもの世間のありとあらゆる…」
「博士は一度警察の厄介になった方が良いと思うにょん」
「な 何言ってるんだ!ナカサキにやましい気持ちなんてございませんよ!
あくまでも科学者としての純粋な探究心のなせる…つまりだね あれだよ
プレーリードッグの巣穴かなんかにカメラ仕掛けて観察し続けるドキュメンタリーとか
あるじゃない?あれ やりたかっただけなんだ!」



「まあ 別に良いにょん にょんには関係のない事だにょん
博士はにょんにこの"怪物"を退治して欲しいのかにょん? そうだとしたら
それこそ 警察に頼んだ方が早いにょん」
「その真逆だよ カニョン君 この映像をよく観たまえよ まるで葛飾北斎の『蛸と海女』だ
北斎の描いた淫夢が今まさに具現化されたんだよ これは芸術ですよ」
「にょんには話が難し過ぎるにょん」
「つまりさ 警察なんかに届け出たら この天然記念物は始末されちゃうじゃん きっと」
「だから?」
「じれったいなあー だからさあー ナカサキはカニョン君にこの生き物を生け捕りに
して欲しいのさ!ははっ!」
「そんなの絶対に無理だにょん!失礼するにょん!」
そう言って立ち上がろうとするにょんの両肩を押さえつけて ナカサキ博士は無理矢理
座らせようとするにょん
「何でも準備する!新型の海鼠銃(ナマコ・ガン)だって造っちゃう!君の注文する
捕獲用の道具をナカサキの科学者としての全キャリアを賭けて開発しますっ!」
彼の力があまりに強いので にょんは着席せざるを得なかったにょん