カニョン探偵事務所/TRANSQUID その13

「ええー!だからあー "とらのすけ"を呑み込むと"とらのすけの怪獣"に変身するんさー
それで『飛びっ子ピコピコ』っていうコントローラー…アッ これもチャチャが名付け親なんさ
正式名は方言だから…」
「その『飛びっ子ピコピコ』でどうするにょん?」
「ううん?ああー そう コントローラー『飛びっ子ピコピコ』で指示を出すと 怪獣は何でも
言う事を聞いてくれるようになるんさー それに怪獣はイカ墨を飲めば飲む程強くなって
いくんさー でも子供には買えないの "大人のオモチャ"だから…」
にょんには チャチャの目が嘘を吐いてるようには見えなかったにょん
「あのナカサキ博士が『こんなの生まれて初めて見た』って言ってたにょん 『もし これを
譲ってくれるなら それなりの報酬も出す』とも…」
「別に良いよ だって それ もう壊れてるもん!カニョンちゃんが無理矢理吐かせたから…」
犯人はこちらが拍子抜けする程 アッサリと口を割ったにょん
でも そのあまりの無邪気さに この時 にょんは無性に腹が立ってきたにょん!
「チャチャはサキをあんな姿にまでしてしまって どうするつもりだったにょん!
万が一 元通りの姿に戻らなかったら…君はそれでも平気でいられたのかにょん!」
にょんは初めてチャチャに怒鳴り声を上げたにょん!
「ああ…それはね 簡単なんさー ブドウでもイチゴでもイカ墨以外の食べ物を食べさせれば
拒否反応が出て "とらのすけ"も吐いてしまうんさー そうすれば簡単に元通り…」
「えっ?それだけ…?」
「そう シンプル イズ ベスト!」
(「サキ・ナノレスにはこの事を秘密にしておくにょん…」)

にょんは会話を進めたにょん
「…まあ それなら良い…という事にするにょん…でも君はその怪物を操って美術館の絵画を
盗もうとしたにょん!それは…とっても悪い事だにょん!」
「どうしても欲しかったんさー!だって レンブラント・ファン・レインにギュスターブ・ドレ
ヴシェーヌ・ドラクロワにアレクサンドル・ルイ・ルロワール おまけにポール・ゴーギャン
チャチャの好きな画家さんばっかり 一度に手に入れられる機会なんて滅多にないんだもん…」
「そんな理屈が通る訳ないにょん!」
「だってさー! この星は汚いものばかり…」
「チャチャが潔癖性なのは よく知ってるにょん」
「でも芸術作品だけは美しかった…だから どうしても持ち帰りたかったんさー
この星のお土産に…」
「それじゃあ まるで"観光地の絵葉書"だにょん!…にょん!?…チャチャ 君 今何て言ったにょん?」
「だからさあー "芸術作品だけは美しかった"…って」
「違うにょん!違うにょん!その後だにょん!」
「うん?ああ…"この星のお土産に"って言った」
「ほ 星…国じゃなくて?」
「ああー! まだ言ってなかったけー?チャチャは違う星から来たんさー 着くまで五ヶ月
掛かった!5ヶ月って長い…」
「やめるにょん!そのフレーズは悪用される危険があるにょん」
「…………」
「にょんが悪かったにょん!チャチャ続けて…」

そうやって真相を聞いてみると 今までチャチャ・ルルーに対して感じていた違和感みたいなものの原因が漸く分かったような気がしたにょん それは 彼女がいつも星空を懐かしそうに眺めていた姿の訳も含めて…
一通りの会話が終わると にょんは何故かとてもホッとした気分になったにょん
これが全て事実なら にょんが いざチャチャ・ルルーを警察に突き出したとしても
にょんの方が病院の別の科に再入院させられる事は間違いないにょん
そのぐらい 真実は"荒唐無稽のシロモノ"だったにょん
「…あの夜のカニョンちゃんとちーずの姿は まるでホンモノの『天使とヤコブの闘い』を
見ているみたいだった チャチャは感動したんさ これまで 地球で見てきた どんな
芸術作品…ううん違う どんな光景よりも美しかった!チャチャはイイモノを見たっ!」
「…………」
次の言葉が見つかるまで かなりの時間が掛かったにょん
「チャチャ…もう にょんは君の事を責めたりしないにょん だけど それには一つだけ条件が
あるにょん」

数日後 念願の"美術館デート"がやっと実現したにょん
その日の事をにょんは一生の"お宝"にするつもりだにょん
デートの日の夜 二人はその足で サキ・ナノレスが仕切る『エッグ・ダンサーズ』の
リニューアルパーティーに顔を出したにょん
チャチャの顔を見たサキは
「お懐かしいのれす…」
と言って 何故か目に涙を浮かべていたにょん
その理由は…まあイーカ…人の心とは簡単に納得のイカないものだにょん
その夜 そこにコドモ・ノ・ユウカも合流して マノ・ピアノの伴奏でイン ザ モーニングまで
踊り明かし 唄い明かし そして 飲み明かしたにょん

振り返れば とっても複雑な事件だったような気もするにょん だけど 突き詰めたところ
幼馴染の三人が 宇宙からやって来た一人の女の子の"無邪気な悪戯"に振り回され
最終的には三人共 彼女の "虜"になってしまった…
そんな どこにでもあるような他愛のない出来事だったような気もするにょん

それに…
気が遠くなるぐらい広い広い この宇宙の片隅で お互いの引力に導かれ合い 折角こうして
集まった"似た者同士"なのだからこんな事でお別れしてしまうのは"アホちゃん"と
いうものだにょん
「類は友を呼ぶ」…カニョンの今一番のお気に入りのフレーズだにょん

これが今回の依頼の大体の報告だにょん もうこの事件について これ以上語るのは
やめるにょん


FIN


作者のイメージするテーマ曲は「恋にBOOING ブー!」です


全て某板からの引用