SAY-LAと西野葵と夏と
夏が過ぎ去っていった。
「そう、私死ぬから。3週間後に。」
彼女はあっけらかんと話した。「でもまだ3週間あるから」と続けた。その3週間後があっという間にやってくることを、俺は知っていた。
葵ちゃんに出会ったのは6月。SAY-LAに通いだした時、葵ちゃんは体調不良のため休業していた。ツイートやブログの更新も少ないし、正直謎が多い子だったけど、実際に話してみたらユーモアもあってすぐに打ち解けられたと思う。
西野葵、思ってたより100倍適当な人だった
— taru0000 (@taru0000) 2017年6月10日
西野葵はシャイな奴だ。斜に構えていると言ってもいいかもしれない。いわゆるアイドルらしい性格ではなかった。ただ、時折見せる子供っぽい言動がかわいらしくもあったし、そのギャップが彼女の魅力でもあったんだと思う。
葵ちゃんとは短い間だったがたくさん言葉を交わした。振り返るとインターネットに書けそうもない話ばかりだけど、毎回純粋に葵ちゃんと話すのが楽しかった。
60分2daysライブやメンバーの生誕ライブ、横丁祭や関ヶ原、TIF等々楽しい時間を過ごして 、これからは遠征が楽しみだと思っていた矢先の出来事だった。
卒業発表後の葵ちゃんはステージ上の表情が穏やかで、アイドルとしての輝きが増したようだった。最後のステージも終始晴れやかな顔をしていたように思える。
前にも書いたが、アイドルの卒業引退は"死"と同等だ。俺は西野葵を失った。今はその変えようのない事実だけが、波のように寄せては引いて、また押し寄せてくるのだった。