別館 魑魅魍魎

カニョン探偵事務所/海鼠銃 その4

壮絶な死闘を終え 乱れる息を整えながら ユウカの方を見たにょん
するとユウカはまるで虚空を見つめているようなお馴染みの表情でボーッと
突っ立っているみたいだにょん ユウカ 相変わらずだにょん …
テンパると外界の騒音をシャットダウンさせて現実逃避するのはユウカの昔からの
悪い癖だにょん
となると 後はサキ・ナノレスを冷やかして楽しもうかにょん
見ると、サキの右後方には赤色のボタンが備え付けてあって そのボタンには
「Don't Push This!」
という貼り紙がくっ付けられているにょん 「触るな!」と言われると触りたくなるのが
にょんの昔からの性分だにょん
「サキ!」
「な 何なのれす!」
「お前さん 字は読めるようになったかにょん?」
「あ 当たり前なのれす!馬鹿にしないで欲しいのれす!」
「それじゃあ 後ろの貼り紙を読んでみるにょん!」
「ん?『ドン プス トヒス…』ちゃーんと読めるのれす!」
「惜しいにょん!で 意味は分かるかにょん?」
「い 意味!? 意味は…意味は…」
「簡単だにょん!『ドーンと 押してみよう!』っていう意味だにょん!」
「今そう言おうと思ったのれすー!」
「そうかにょん?それじゃあ早く『ドーンと押してみよう!』」
「うるさいのれす!言われなくてもやるのれす!」
これだから この無学の単細胞は面白いにょん


サキがボタンを押すと、ガクンッと倉庫全体に振動が走り 何処からかOKマークの形を
した巨大の右手がウイーンと姿を現し 大砲サイズの海鼠銃の周りにセットされるにょん
セットされた巨大な右手は海鼠銃を物凄いスピードでしごき始めるにょん
カチンコチンになった大砲サイズの海鼠銃から先走り汁が垂れると 銃全体がプルプルと
震えだすにょん
運悪く いや にょんにとっては運良く海鼠銃の銃口は丁度ユウカとサキの方に向いていたにょん
鈍いユウカもこの騒音に流石に我に返ったみたいだにょん でも "時既に遅し"だったにょん
「コドモ・ノ・ユウカ敗れたり!これがフィニッシュだにょん!」
「えええ!? ハエーヨ!ハエーヨ!」
いきりたった大砲の「精通の儀式」はアッという間に終わったにょん
吐き出された大量の白い粘液はユウカとサキに満遍なくブッカケられ ユウカはおろか
サキまでも"真っ白"になって倉庫の作業通路でぶっ倒れて気絶しているにょん
戦いはこれで本当に終わったにょん…
ガチャリッと音がして そちらを振り向くとナカサキ・チャン氏が
「Mouth Pussy()」の異名を持つ大きな口をアングリと開けっ放しで
茫然としていたにょん
その彼に向かって にょんは思わずこう言ったにょん
「ミスター・チャン!その開いた口を早いとこ塞ぐにょん!
これ以上 にょんに卑猥な連想を促すのは もうやめるにょん!」


会員制高級クラブ「エッグ・ダンサーズ」へ救急車を寄越すように通報した後
にょんはナカサキ・チャン氏と誰にも見られないように そそくさと人混みに
紛れたにょん
こうしてナカサキ・チャン氏と二人きりになるのは初めての事だったにょん
話してみると ミスター・チャンは なかなかの好人物だったにょん
「カニョン君 ナカサキが造った海鼠銃の調子は良さそうだね!ははっ!」
「えっ?それじゃあ やっぱり博士が…」
「そうぜよ!ナマコはナカサキの心をいとも容易く奪ってしまった…
あのカタチ あの質感 そして 触るとカチンコチンになる所なんか もうそのまんまじゃないか!」
「何の事だにょん?」
「またまたあー!分かってるんだろ?だからね ソックリじゃないか!オチンチ…」
「やめるにょん!」
「おいおい 人の話の腰を折っちゃいかんよ それで オチンチ…」
「やめるにょん!今まで敢えてその言葉は出さずに来たにょん!ここへ来て世界観を
ぶち壊すのはやめるにょん!」
「ははっ!そうかね まあ しごくとピュッと飛び出る『キュビエ器官』なんざあ
まさに精…」
「やめるにょん!」
「ええ!?何と!これも言っちゃ駄目なのかい?キビシイっすねえ!」



「話を変えるにょん あの巨大な海鼠砲を造ったのはミスター・チャン あなたかにょん?」
「勿論その通り 考えてもみたまえよ あんなもんナカサキ以外に一体誰が造ると言うんだい?
ははっ!」
「ユウカはあれで一体何をしようとしていたにょん?」
「フフッ 『アレでナニをする』って…へへッ…ん? あーいや失礼失礼!つまりだね
コドモ・ノ・ユウカ氏はこの街を本当に自分のモノにしてやろうと目論んだんだな
表からも裏からも牛耳ってやろうと考えたわけだ…『オモテからもウラからも』って
何か卑猥だね!ははっ!」
「ユウカの奴…"欲張り過ぎ"だにょん…」
「うん まさしくその通り!"欲しがり過ぎ"ちゃったんだよねー…『欲しがり過ぎ』って言うのもヤラシイね ははっ! …ん? まあ 豚のような強欲さが人の心を捻じ曲げてしまったんだろう 非常に残念な事だよね…今 ナカサキ 良い事言いませんでした?ははっ!」
「しかし何故博士はユウカの言いなりになったのかにょん?もしかして科学者としての"どうしようもない性(さが)"が働いたとかかにょん?」
「『どうしようもない性』って言うのも結構クルねー ははっ!…ん?いやあ そうじゃないんだよなー その件に関しては… カニョン君 君 口は固いほう?」
「任せるにょん! にょんの口と胸は固くって有名だにょん!」
「そうかい そうかい それじゃあ 話しちゃおうっかなあー…」